不妊治療の保険適用の内容
不妊治療の保険適用開始迫る!2022年4月に向けて知っておきたい変化の話
不妊治療の保険適用に向けて徐々に明らかになってきた
「気になるポイント」についてレポートしたいと思います。
保険適用開始は2022年4月の予定です。
これまで全額自費診療があたりまえだった不妊治療、
いったいどのように変わるのでしょうか?
- POINT1
不妊治療にまつわるすべての医療行為が保険適用になるわけではない
2022年1月28日の報道で分かったのは、
政府が出した不妊治療の保険適用に関する案を
中央社会保険医療協議会が了承したこと、そして、
保険適用となる医療行為のなかに
「着床前診断」が含まれていないことです。
また、年齢制限も定められました。
「治療を開始する時点で女性の年齢が43歳未満であること」
保険適用の範囲を拡大して先細りする
日本のカンフル剤にしたい政府の意図を
最大限に尊重した結果と言えるでしょう。
ただし、患者側である私個人は、
着床前診断についてもカバーしたほうがいいのかな、と思います。
- POINT2
不妊治療の保険適用開始で助成制度の内容も変わる
2021年1月から特定不妊治療助成制度の受給要件が
緩和されて内容が手厚くなり、
申請件数がぐんと増えた結果、政府の支出も
予測の2.5倍になったそうです。
事前に組んだ予算が151億円だったのに対して
12月には370億円まで膨れ上がっており、
不妊症に悩む人口の増加を浮き彫りにしました。
とはいえ、現行の特定不妊治療助成制度は
不妊治療の保険適用開始までとなっています。
2022年4月からは助成制度の内容にもまた変更がありますので、
今後は助成金による歳出は減っていく見込みです。
2022年4月以降に特定不妊治療助成制度を利用したいと
希望していらっしゃる方は、変更内容をよく確認して
申請するようになさってください。
- POINT3
保険適用で不妊治療の費用はどれくらい変わる?
治療の内容によっては保険適用開始で
費用が3分の1程度にまで抑えられると言われています。
不妊治療にともなう家計のマイナスは純粋な
支出だけではありません。それでも、
1回あたり30万円以上もかかる医療費の部分が
3分の1になるなら、
「私たちにも不妊治療を受けるチャンスがあるかも」
「諦めていたけど、私たち夫婦も子どもを望めるのかも」
と、不妊治療を現実的に計画できるようになる方々も
いらっしゃるはずです。
「着床前診断」の取り扱いについては議論が続く
「着床前診断は命の選別になるからよくない」
という政府や中央社会保険医療協議会の見解には
いくつもの矛盾があるように感じます。
「着床前診断」は着床前に異常の有無を調べる検査です。
着床前診断が「命の選別」というのは、
卵子の段階でそれを命と捉えるという
意味になりますよね。この点に違和感があります。
そもそものはなし、着床前診断を「命の選別」
というならば、科学技術を用いて
治療しなければ子どもができない人口が
増えてきた人類そのものが、地球の歴史のなかから
淘汰される存在なのではないか、
という議論につながりはしないでしょうか?
着床前診断の穴埋めになるような方策を検討する、
という声も上がっています。
先進医療の保険適用拡充に向けて、さらに注目していきたいところです。