発展途上国ではHIVの母子感染が多い
妊娠を望むご夫婦にとっては、まず、HIVが母子感染する
ということが重要です。
母子感染は、母から子に病気が感染することを言います。
感染したら「発症しないようにする」治療、
そして、「発症したら症状の進行を遅らせる治療」が
行われます。
不治の病なのです。
感染しないこと、誰かにうつさないことが
最大の対策になるわけです。
母親がHIVに感染していたらお腹の赤ちゃんは
逃げようがないので、親がHIVの危険性を知り、
感染しているかどうかを確認し、
もし感染していたら赤ちゃんに感染しないように
対策する必要があるんですね。
母親がHIVに感染していることを
自覚しないまま出産した場合の
母子感染率は30%程度で、
妊娠初期から母子感染対策を行えば
母子感染率は1%以下に抑えられるとされています。
世界の状況、日本のHIV感染対策がどのように
行われてきたのか記載されていました。
ガイドラインが作成された2016年に確認された
1年間のHIV新規感染患者数は180万人で
前年とほぼかわらず、そのうち約16万人が
15歳以下の子どもと推計され、
なおかつそのほとんどが発展途上国で
起こった母子感染によるものとのことです。
先進国で母子感染率が低下し、
経済的理由によって末端にまで
教育が行き届かない現状を物語っています。
教育を受けられないからHIVの危険性を理解できず、
また、母子感染を予防するための
投薬を継続できない、
周囲からの偏見や迫害でさらに
生活がひっ迫して母子感染リスクが高まる、
母子ともにHIVの感染およびAIDS発症によって
労働もままならない世帯が増えて
地域経済そのものがさらに後退する、
余計に教育の機会が奪われるといった悪循環です。
参考http://hivboshi.org/manual/guideline/2018_guideline.pdf
- HIVに感染しても妊娠は可能!適切な対策が肝心です
日本でも80年代にはHIVの母子感染率は
30%程度で拡大していました。
しかし、医療体制を整えるとともに、
感染が減少傾向に至ったのです。
HIVに感染しても妊娠はできます。
適切な対策さえ行えば、健康な赤ちゃんを
抱きしめられるということを、覚えておきたいです。
HIVの検査
参考までに、私の知る神戸ARTレディスクリニックでは
不妊治療にまつわる検査として
自費診療で価格は3,300円、費用的にもどちらかと言えば
お手軽な検査項目ですから、
感染リスクを自覚していない方でも
ぜひ受けておくべきものではないでしょうか。
とはいえ、混合診療になって
不妊治療が保険適用外になるのは
避けたいという方もいらっしゃるでしょう。
そうした場合には他の医療機関で
自費になる感染症検査を受け、
その結果を持ち込むことも可能です。
まだどの検査も受けていない方は、
事前に電話などで相談しておくといいかもしれませんね。
HIVという病気について
HIVに関する基礎的な情報をまとめておきます。
私はうっすらと子どものころに習った記憶がありますよ。
でも記憶がすっかり遠くなって、
勉強した内容もぼやけてしまったように思います。
HIVはヒト免疫不全ウィルスのことで、
これが感染して発症する病気を
AIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群)といいます。
HIVに感染してAIDSを発症すると免疫不全が起こり、
病気抵抗力がぐっと低下し、
致命的な感染症やがんを併発し、死に至ります。
HIVに感染してからAIDSを発症するまでの
潜伏期間は数年から10年ほどで、
この期間にHIVが体内で増殖します。
HIVが増殖してリンパ球が減少した結果として
免疫不全に陥るのです。
潜伏期間中にHIV感染に気付き、
治療を開始できればAIDSの発症を防ぐ
治療を受けられます。
発症してからの治療は困難です。
潜伏期間の段階で感染に気付くことが生存の秘訣となります。
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HIV感染リスクに気付くポイント
異性と性交した経験がある方は、
全てHIVの感染リスクを持っています。
あなたの相手がひとりだけでも、相手はそうとは限りません。
複数の相手と性交した経験がある場合、
HIV感染のリスクは加速的に高まります。
レディスクリニックなどで結婚前に各種検査を
受けるのが「ブライダルチェック」ですが、
HIV感染リスクを考えると結婚前だけでなく
結婚後にも感染症検査は受けておいた方が無難でしょう。
ちなみに、私に「あなたは旦那さんしか知らなくても相手は分からない、
信じすぎない方がいい。自分で自分を守らないと」と
警告してくれたのはレディスクリニックの方でした。
家族や友人の立場ではなかなか言えないことを
あえて口に出してくれたのだな、と、今では感謝しています。
我が家では性感染症は検出されませんでしたけれども、
出会う前、結婚前のことは分かりませんから。